ある視点:映画/ 最後の追跡

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

交差しなかった轍

レンジャーと銀行強盗のバディ2組。乾いたテキサスの大地の上で2つの線は交差しない。

母が遺した家を奪った銀行の支店で強盗を繰り返し逃亡を続ける兄と弟。それを追う定年間近の白人とネイティブアメリカンのレンジャー。

シンプルなストーリーとテキサスの美しい景色の裏側には、現代アメリカが抱える問題が広がる。貧困・銃・レイシズム。

クリス・パインとベン・フォスターの絆の深さも心揺さぶられるが、ジェフ・ブリッジスとTボーンステーキ・レストランの老ウエイトレスとのやり取りが最高。頑固者には上がいる。

荒野・寂れた街並み・ダイナー。物語の中に風景があるのではなく、風景の中に物語がある。おそらく人生も同じで、自分の中に現実があるのでなく、現実の中に自分がいる。

登場人物がただ風景を眺めるシーンが多い。希望よりも徒労感、抗えない宿命の中で途方に暮れる。

ベン・フォスター演じるターナーの最後の台詞、

「草原の支配者…それが俺だ。」

全てから解き放たれた表情は優しく穏やかだった。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。